カトリオナ・ウォード『ニードレス通りの果ての家』、読了。
語り口がとても好きだった。「ホラー」の形を取っているけれど、苦痛と恐怖に直面した人への、はっきりと希望の物語と感じた。
普段はこうしたタイプの小説は敬遠する人にも読んでほしい…!帯やあらすじを読むと躊躇するかもですが、エゲツない系のホラーやスリラーではないので…。
テッド、オリヴィア、ローレンの秘密は序盤で察したが、それは作者があとがきで明かす、この物語に込めた「サバイバル」への想いが全編に渡って感じ取れるからだと思う。
だから読んでいる最中、一度も「気持ち悪い」と思わなかった。
私はミステリやスリラーの仕掛けとして「これ(ネタバレになるので伏せる)」を描くフィクションが嫌いなのだが、この作品はテーマに対してとても誠実な小説と感じた。
黒猫オリヴィアの勇気も、すごく良かった。
「尻尾が逆立ち、怒りの刃になる。先っぽに点いた火がわななく尻尾を炎に包み、わたしを燃えたたせる。(…)これはわたしの思いが生んだもの、わたしの火だ」