ジャネット・ウィンターソン『フランキスシュタイン ある愛の物語』
メアリー・シェリーが『フランケンシュタイン』を書いた1816年と現代、この2つの時代を基点にして様々な時間軸を行きつ戻りつしながら紡がれてゆく中で、そこへ徐々に創作上の存在が紛れ込んでくるという一見複雑な構成なのに、混乱せずグイグイ読める。
あらゆる二元論を超越していく物語で、その語りが本当に魅力的で大好きだった。
現代における登場人物たちが単なる過去の焼き直しに終わらず、新たな道を進んでいるのが良い。
それとこの『フランキスシュタイン』のように、登場人物の台詞に鉤括弧が付かない書き方の小説は、読みながら思考と発語が渾然一体となって届くような感覚が個人的にはとても好きで、なぜか集中して読める気がする。
今年出た海外文学にもこのスタイルの小説が何冊もあったのだけど、どれもすごく良かった。