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エリザベス・ストラウト『私の名前はルーシー・バートン』、すごくすごく良かった。

「私」が経験した過去の様々な出来事の回想が、ばらばらな時間軸で語られる。言ってしまえばそれだけなのに、めちゃくちゃ好きだ。
交わした会話の引っ掛かり、忘れがたい感情、今も残るその感覚。今となっては曖昧な、しかし確かな感触を伴う記憶の断片の積み重ね。

人生における些細な記憶や感情は自分の裡にだけあるもので、それを言葉にしたり残したり誰かと共有するわけでもなく、しかし消えたりはせず、ふとした瞬間に記憶が鮮やかに浮かび上がってくる。
読んでいる最中は物語と並行して、自分の裡にもある、今は沈んでいる感覚をずっと探っていた。

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