仕事で逃げ場のない状況が続いている。その皺寄せで家族の前でもどうでもいいことで毎朝不機嫌にしている。キレる前に家を出てしまい、通勤電車の中で頭は仕事に切り替わり、夜には不機嫌というよりただ疲れて帰るので朝のような諍いにはならないけれど、翌朝にはまた不機嫌をぶり返すループだ。
諦めたと妻には言われた。我慢しようねと子供らには。気分にゆとりがないと、どうでもいいことを、自分が家族に迷惑をかけていることと短絡する癖がある。自覚がないのに不機嫌になっている。どうにかしたい。そう告げたら匙を投げられた。ずっと言ってきたしこれだけかけても治せなかったものはもう治らないと。
仕事がどうにかなれば朝の気分も持ち直すのだろう。けれどそれは根本的な解決ではない。家族との間に疑いの壁ができたことは取り返しがつかない。自分が別の何者かにならなければその壁は消えない。別の何者かになることを家族は助けない。家族も当てにせず、仕事が良くなることは当てにせず、先に自分でどうにかしなければならない。