『HUNT』 ネタバレ感想2
冷徹で利発で有能なので組織の中で活躍できる女性表象キャラクターが二人も出てきましたね。男性表象に割り当てられがちな属性だと思うので(まして話が話だし)。パク側の主任にあの時代・あの組織で女性が就くからにはという暴力行使への躊躇のなさや火のついたドラム缶を蹴り倒すシーンなど、体力的な見せ場があったのも、見せ方としてよかったなと思う。北の赤い服の女性もするっと暴力の現場にいられる胆力のあるキャラでよかった。最後まで捕まらなかったクリーニング屋といいキャラの置き方が巧み。
一番好きなシーンはラストの車に乗り込むところ。殺す命令を実行できなかった、その上で死にゆく「敵」にトドメを刺しもせずただ傍に行った、そして車外に出たとたんの銃声、と重ねれば彼女の命は尽きているのかもしれないが、「パク・ウンス」には生き延びていてほしいと強く思う。画面に映らなかったのだから生きている可能性はある。あんな暴力が暴力を呼び、しかし暴力では結局解決を導けない社会で、違う道を生きろと望まれた・託された若者。彼女が生き延びることは、今苦しめられている人々すべての生命が、時代の先に進むことだと感じる。