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『公孫龍』3巻、おもしろかったー。これから「完璧」の故事、始めます!ってところで次巻に続くになったのでゲラゲラ笑ってしまった。著者にここで笑わせる意図は絶対になかろうが。
『史記』などに記録された歴史は長大で、どうしても点と点、因と果の話になりがちなところを、史実のひとも創作のひとも混ぜこぜにして精緻なタペストリーを織りあげるのが宮城谷の真骨頂である。
ひとの潔さ、情の篤さ、天を見上げながら待つのではなく理想を手元に引き寄せるべく努めること、人と人との関わりで社会が動いていくこと。今シリーズは特に謀や自己の利益に奔る人物をメインから遠ざけて、徳という概念のカッコよさに筆が傾けられている。好漢たちの物語が読みたい人に。
古代中国ものなのでどうしても「人=man」である偏りは強い。ただ宮城谷の描く女性表象はどうも固定的だなあと長らく感じていたのだが、今回ほぼ唯一の女性キャラが武を究めていくので驚きと喜びがあった。このまま「妻」にならん女性になってほしいよ〜。時代的に難しいのは分かりつつ。
あと「男色」への揶揄が一箇所だけ入る。不要だったのでは?と思っています。
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