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『将棋指しの腹のうち』文庫版読み。先崎九段のエッセイはとても読みやすいのと、題材にとった実在の方々に対して文中から好意を感じられるので読んでて面白い。ただ男だ女だのジェンダー固定化は強めでそこは強めに引っかかるところである。
今作は棋士と飯がテーマ。「将棋メシ」がジャンル化する以前の棋士の食事事情について語られる。白眉は先崎・佐藤のプロ二人で人間将棋のようなことをさせられた奨励会員30人に焼肉を奢った話だが、大笑いしたのは昭和の名人(称号でない)たる先輩棋士たちの対局に勝って気分のいいところを更にヨイショと持ち上げて鰻を奢ってもらっていた話。p128「気前がよくて鰻好きという先輩が対局だと(中略)必死に応援するわけである。両者気前がよさそうな棋士同士の対局は、「両面待ち」と呼ばれ大層ありがたられた」。将棋指しが麻雀用語で喩えられてる面白さ、奢られの妙技、楽しかった思い出への懐旧の念が入り混じり、おかしくも切ないエッセイ。  

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