J.ルノワール『ラ・マルセイエーズ』(1938)。ジャンは有名なA.ルノワールの息子。この映画では、兄ピエールはルイ16世役で出ている。
ルノワールは1930年代、「トニ」(35)、「ランジェ氏の犯罪」(36)「ピクニック」(36)、「大いなる幻影」(37)、ゲームの規則(39)など映画史に残る傑作を立て続けに監督。「トニ」、S.バタイユが主演した「ピクニック」ではビスコンティ、「ラ・マルセイエーズ」ではベッケルが助監督を務めた。
この映画は「人生は我らがもの」と同様、反ファシズム人民戦線への連帯として撮影された。
最初は1789年7月14日、バスティーユ襲撃を知らされたルイ16世が「暴動か?」ー側近「陛下、これは革命です」の有名な場面で始まる。
映画では南仏のプチ・ブルジョアのインテリ、マッソン(石工だが、フリーメーソンの意味も掛ける)、貧農、下層都市民の4人に焦点があてられる。
最後は、共和国の存続をかけてヴァルミーでプロイセン軍に立ち向かう場面で終わり、「ここから、そしてこの日から新たな世界史が始まる」というゲーテの有名な言葉が引用される。
この場面で「自由」=「恋人」の比喩が用いられる。レジスタンス中のエリュアールの有名な「自由よ、僕は君の名を書く」はここから来たのだろう。