かつて「世界資本主義の弱い環」という表現があった。
例えば1917年に資本主義の中心地域ではなく、半周辺であったロシアで革命を起こったことを説明するために使用された概念。
私は「世界システム論」の立場なので、資本主義世界経済とインターステイトシステムは相互に還元不可能な「可能性の条件」をなす、と考える。つまり、マルクス主義のように最終的には経済要因に還元される、とする立場ではない、ということだ。
ところで、この立場に立つと、現在の国際政治秩序の「最も弱い環」はパレスティナ/イスラエルである。死者4万に超えるイスラエルの今も続く一方的虐殺は、米国が主導する「リベラルな国際秩序」の正当性を完全に崩壊させた。
他方、世界資本主義の最も弱い環(の一つ)は日本である。つまり工業力・科学技術力は急速に衰退しながらも、金融資産だけは、韓国やグローバルサウスの国々と比較しても圧倒的。
しかし外交的交渉力がない金融資産だけの国家は、国際的には「いい鴨」にしかならない。現在の乱高下する為替と株価はその象徴である。
この過程で、NISAなど株式に投資された貯蓄は雲散霧消し、富は海外投資機関に移行する。
この過程は巨大な家計貯蓄が消えるまで、続くだろう。貯蓄が消えればジンバブエと同じことになる。