この10日程で、1ドル160円から153円に超急速に円高に。
他方、同時に東証株価は4万円越えから、4千円以以上下落。
これは勿論、偶然ではありません。
海外投資家が円安の際に、大量に株価を買い込み、円高の際にそれを売り抜ければ巨額の利益がはじき出される。
今や金融取引はAIが自動的に行うので、この10日で、海外投資家が挙げた利益は分かり知れない。
他方、円高になれば、物価が下がるか、と言えばそうではない。
経営側は、「人件費や物流のコストが上がっている」と表向きは宣うが、本音は一度「上げた物価を下げたくはない」。もし円高がしばらく続けば、その分利潤は大きくなる。
結局、実体経済から遊離した金融取引で最も「ババを引かされる」のは、人口の圧倒的大部分を占める一般庶民なのです。
さらに言うと、NISAなどに踊らされた国内の小口投資家は、東証株価が1週間で4千円以上で暴落したことで、大きな損失を蒙ったでしょう。
また国内小口投資家は、為替変動を利用するということも普通できません。
なぜなら、ただでさえ、現在10年前と比較すると日本の実体経済を反映して円は大きく下がっている上、「為替」には手数料が必須。
これは証券投資会社に委託した場合、損失しても運用金額に応じた手数料を取られるのと同じ仕組み。
つまり、現在の乱高下する為替・通貨変動に適応して尚、利益を叩き出すには、巨額な元手が必要となる。
要するに小口投資家は統計的には「負ける」ようにシステムができているのです。
そして小口投資家の「元手」は貯蓄。政府・財界は「貯蓄から投資へ」などと煽りまくっているが、この調子で行けばただでさえ、やせ細っている中間層の貯蓄は、物価高+投資損でさらに減り続ける可能性が高い。
ただし、今暫くはリスクを分散できる超富裕層は、儲け続けるでしょう。
他方で日本の世帯の3割前後は、すでに金融資産ゼロ。これが5割になれば19世紀の水準に戻ります。