自民党の次期総理候補の一人、ともされる茂木自民党幹事長が「今の国民はパンよりサーカス」という持論を展開しているそうだ。
しかし、「パンとサーカス」とはローマにおいて「共和政」が空洞化し独裁政治に移行してから、大衆を「愚民」とみなして使われるようになった言葉。
「パンとサーカス」の伝統は専制国家になった東ローマにも引き継がれ、皇妃をミスコンで選ぶようなったことなどは、さらに演劇性を増したとも言える。しかし、他方学術の独立性は失われて、プラトンの開いたアカデミアは閉鎖。
アリステレスをはじめとするギリシア哲学、科学、医学、法学の中心地はイスラム圏に移る。中世ヨーロッパのアリストテレスは全てアラビア語からの重訳。トマス・アクィナスがイスラム圏との接点のナポリ大学出身であるのも偶然ではない。
茂木幹事長に戻れば、「パン」がなければ「サーカス」に行く体力はない。しかも、そのサーカスとは五輪や万博など一般民衆から収奪した元手を内輪で分配するのだから、民衆にとっては「ふんだりけったり」である。
茂木氏はマッキンゼーから平成維新の会事務局長というキャリア。正直、「コンサル」というだけでお腹いっぱいである。
英語圏でもコンサルの弊害を論じたCON(仏語では間抜け)という本が出たそうだ。