とある人から「講座 社会学」と云うものが、岩波から出版中と聞き、どれどれと覗いてみる。
すると「環境・災害・技術」の巻頭論文は、あの「開沼博」である。
開沼と言えば、「風評被害」の概念を経産省・東大のために創造するのに関わったばかりか、先日の原発汚染水排出の際には、「風評加害」という法的概念を提唱し、法廷に告訴できるようにすべきだ、と産経で吠えていた男である。
この男を原発災害に関して起用する方針だとすれば首を傾げる。
あとざっと見るに、産業社会学(企業分析)、政治社会学、法社会学、国際社会学、歴史社会学、そして元来兄弟ジャンルであった人類学などの分野が妙に手薄に感じるが、これは昨今の日本の大学の社会学の傾向なのであろうか?
私などは大学院修士の時には指導教官は見田宗介さんであったにも関わらず、指導なしの全くの「放し飼い」であった上に、当時の「社会学」の言説に、ーここは見田さんと同様ーかなり距離を感じており、なにやら30年後の「社会学」には感慨を抱く。
ちなみに「見田さんと同様」というのは、「見田さんも当時の社会学にはかなり距離を感じていた」という意味である。