ジャック・デリダの長男、ピエールが60歳で亡くなったらしい。
写真で見ると、父親に瓜二つである。デリダがはじめて日本に来た時は、エコール・ノルマルで哲学専攻中ということで、ジャックは「親ばか」振りを発揮して将来を嘱望していた。
デリダは書いたものから予想されるのとは逆に「家族」を実生活では、とても大事にしており、日本滞在中も、大量の硬貨を常備して、公衆電話から毎日フランスに電話していたらしい。
ピエールはおそらく声も父ジャックとよく似ており、であるから長く重要な愛人であったS.アガサンスキーとの専用電話に「間違って」出た時も、シルヴィアーヌは「ジャッキー」と思い込んだのだろう。
しかし、このピエールと次男ジャン、そしてシルヴィアーヌとの息子、ダニエルもすべてENSに進学、哲学を専攻した、というのであるから、まさにブルデューに言う如く仏における「文化資本」の「遺産相続」は目覚ましいものでがある。ブルデューの息子がこれまた社会学者である。ダニエルに至っては実父デリダ、養父元仏首相ジョスパンであるから、何をか言わんや。
ただ、デリダとブルデュー二人(共に1930生)は、アルジェとベアルンという「田舎」から仏の超学歴社会を一代で駆け上ってー時代もあるがーともに知識人界の王となった。