『性的人身取引ー現代奴隷制というビジネスの裏側』シドハス・カーラ
社会主義圏崩壊以降、加速する国際的「性奴隷」ビジネスを綿密な調査と資料精査によって明らかにした書物。昨年翻訳が出版された。
性奴隷の供給源の一つは、社会主義崩壊以降、福祉が崩壊した旧東欧圏。ルーマニア、ブルガリア、ポーランド、チェコ、ウクライナ等から、「結婚詐欺」や文字通りの「誘拐」などによって大量の女性が西欧及び北米に拉致され、性奴隷ビジネスに従事させられている。
また、アジアではタイ、フィリピンなどの児童買春に「ペドフィリア」の多くの「北」側の男たちが訪れる。ただ、最近は観光に来た白人家庭の子供が誘拐され、性奴隷にされるケースもあるようだ。
著者は、こうしたグローバルな調査を踏まえた上で、国境を超えた性奴隷制ネットワークが新自由主義グローバリズムによって可能になり、また急成長する分野になったことを指摘する。今や性奴隷ビジネスの「利益率」は麻薬ビジネスより大きい。
従って、著者は新自由主義グローバリズムの是正なくしては国際的「性奴隷制」の根絶はない、と主張する。(「朝日」では「性奴隷ビジネス」を「非合法化すべき」という「眠たい」書評出ていた。そもそも性奴隷制、「非合法」です)
関心の或る方、ぜひご一瞥下さい。