ヴィクトル・ユゴー「レ・ミゼラブル」について
「レ・ミゼラブル」は今までに、何度も映画化されてきました。小説の映画化、はジャンルの違いもあって、成功するとは限らない。失敗の典型はトルストイの「戦争と平和」。しかし、「レ・ミゼラブル」はこれだけ、映画化されるのは、やはり人気が高いのでしょう。
フランスでは大詩人とされるユゴーですが、日本では詩人としてというよりは、やはり「レ・ミゼラブル」の作者として知られている印象。
私も、J.ギャバン、ベルモンド、ドバルデューなどがジャン=ヴァルジャンを演じたものを見てきましたが、最近の英語版ミュージカルも、わりにテンポよくつくられていた印象です。
J=ギャバンのヴァルジャンはやはり少し年を取り過ぎていて、その点映画版ミュージカルのヴァルジャンは、活力、という点では、よかったのでは。
この映画、最後ヴァルジャンの死の場面で、「現世の罪」から洗い流されて昇天する、というメッセージになっている。
原作では、あるいはフランス版映画では、ジャン=ヴァルジャンは、社会的に「罪」を犯したとは本人も小説内でもされておらず、むしろブルボン王政復古と産業革命の進展によって生み出された「悲惨」と「不正」の犠牲者にして犯行者という位置づけです。