WWII中のユーゴスラビアー坂口尚とE.クストリツァ(下)
チトーのパルチザンは、ソ連の援助ゼロ(これはチトー=スターリン書簡でスターリン側が医療・食料援助も拒否したことが確認されています)という状況において、ドイツ軍8個師団、クロアチア軍、ブルガリア軍を引き受けることとなりました。
この結果、ユーゴは東欧圏で唯一ソ連から自立した国家として戦後出発します。
また「解放」後、連邦制として再編された新ユーゴスラビアを、クロアチア人であったチトーがまとめ上げることで、その後半世紀ユーゴは「連邦制」として「平和」を維持しました。
その意味でも、以前の投稿で批判した「民族的個体性」に依拠した「ロマン主義的ナショナリズム」は、ユーゴスラビアでも、破滅的な役割を果した、と言ってよいでしょう。
このような歴史を振り返るにあたっても、『石の花』は再読に値する、数少ない日本のサブ・カルチャーの作品の一つである、と思います。