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「イル・ポスティーノ」の監督マイケル・ラドフォードがアルパシーノ主演で撮った『ヴェニスの商人』【2004)

半世紀ほど前から英米文学では「ポストコロニアルスタディーズ」の方法が盛んになり、さまざな古典、特にシェイクスピアの再解釈が映画の演出にも応用されてきました。

特に多いのは『テンペスト』のキャリバンとプロスペロの関係。英ではD.ジャーマン、P.グリーナウェイの両人、米国ではプロスペロを女性とするバージョンもあります。

さて、この2004年の『ヴェニスの商人』では強欲金貸しのシャイロック(A.パシーノ)に対するヴェニスの貴族たちの「反ユダヤ主義」がかなり詳細に描かれます。

有名な「証文」へとシャイロックを追い込む、恥辱、法廷での「出来レース」などに焦点が合わせられます。

ユダヤ教の「正義」に対するキリスト教の「慈悲」の優位を説く「欺瞞性」にも光が当てられます。

最後はキリスト教への改宗を強制され、ユダヤ共同体からもキリスト教会からも排除されるシャイロック。

ヴェネチィアの「ゲットー」を破壊し、ユダヤ人を「解放」したのはナポレオン・ボナパルト率いるフランス軍でした。

ライン川のフランクフルト、トリ―アなども同様。この「解放」からH.ハイネ、K.マルクスが次世代に登場するのです。

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