フランス・レジスタンスと「影の軍隊 L' ARMEE DES OMBRES)」
レジスタンスを戦時中(1941)に鼓舞する、或る意味「プロパンガンダ」としての『カサブランカ』を紹介しました。
1941年と言えば、まだレジスタンスはJ.ムーランのような例外を除けば、ユダヤ系、亡命スペイン共和派が中心だった時代です。
ところで、映画としては『カサブランカ』は「物足りない」という方が居られるかも。
そういう方には1969年の『影の軍隊』がお勧めです。
監督J=P.メルヴィルはユダヤ人であり、英国に渡って自由フランス軍に参加しました。メルヴィルとは、ー米国の作家H.メルヴィルにちなんでいますがーこの時のコードネーム。メルヴィルは「ヌーヴェルバーグ」の兄とも呼ばれ、映画史的にも高く評価されている作家です。
WWII後、占領初期の静かな「レジスタンス」を描いたヴェルコール『海の沈黙』の映画化でデヴュー。
ちなみに「影の軍隊」とはヴィシーに忠誠を誓った軍隊ではなく、仏国内の「レジスタンス」組織こそ「共和国」正規軍という意味。ヴィシー政府は「影の軍隊」を「テロリスト」と呼び「法の外」に置く。
「テロリスト」の名称が政治的に大動員されたのは、この時期の仏がはじめて。
なかなかに政治語法というのは難しい。