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「社会思想史」というジャンル

従って、「社会思想史」というジャンルは経済学部のマルクス主義(特に市民社会派)の人たちが中心となり設立された、という意味で極めて「ユニーク」なもの。

「政治思想史」、「哲学史」、そして「社会学史」とも異なり、欧米の「思想史 history of ideas」とも異なります。

特徴としては、現在への批判的介入の視点、社会科学と歴史学との接点を探る、などが挙げられます。

例えば「政治思想史」は基本18世紀までが主な研究対象。

何故なら、アレントが問題にしたように、「政治」と区別された「社会」という概念が前景化するのは19世紀になってからだからです。

「政治」と区別された「社会」の前景化、これは勿論資本主義の全面的な展開と関係があります。

ですから、マルクス主義の方法論+資本主義への批判的視座を備えた「社会思想史」が19世紀・20世を分析・叙述するには適合的なのです。

逆に、この二つの特徴を捨て去った「社会思想史」には、存立理由がなくなります。

元来、「社会思想史」は経済学部の科目でした。しかし、日本の経済学の急速な新古典派化(新自由主義化)によって、現在、マルクス派はほぼ一掃されました。

今や「絶滅危惧種」といってよいでしょう。

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