「アクト・オブ・キリング」と「ルック・オブ・サイレンス」 (続)
日本ではどうも「想像の共同体」を文脈抜きに使いまわす時期が長すぎたように思います。
訳者の白石隆などは、はっきり言ってアンダーソンの立場には何の共感もない人間です。翻訳もはっきり言って誤訳も多い。
アンダーソンは基本的に第三世界ナショナリズムに肯定的であり、1965年の事件についても、「共産党が合法性に拘り過ぎたのは政治的に失敗」という意外(?)な指摘をしています。
いずれにしてもこの1965年の大虐殺事件は「Global cold war 」に決定的な影響を与えました。
米国は共産主義のヴェトナムへの
「封じ込め」に成功します。
私見では、この時までむしろ「中国派」だった日本共産党が決定的に「武闘路線」を放棄し、「日本」共産党として議会主義に最終的に参加することを選んだのは、この事件の結果ではないか、と推測しています。
つまり「煽るだけ煽った」毛沢東の中国が、実のところ、PKIを助ける能力も意志もない、ということが明白になったからです。
これは事柄の性質上、文書資料によって「確定」するのはおそらくまだ数十年かかる、あるいは「確定」するのは無理かもしれませんが・・・状況証拠からして間違いない、と思われます。