R.ロッセリーニ「ヨーロッパ 1951」(上)
「無防備都市」、「戦火のかなた」、「ドイツ零年」のネオリアリズモ期のロッセリーニの作品はよく知られている。
実際、傑作でもあるし、ゴダールの「映画史」でも、もっとも登場回数が多い三作かもしれません。
1944-45年のイタリアは反ファシズムの内戦(中部・北部イタリア)を人民戦線的な構図にてよって戦い、戦後国民投票で王制を廃止し、共和国へと移行しました。
ところが、WWII後ただちに地球規模での国際冷戦レジームの構築がはじまり、イタリアは、分断されたドイツ、ギリシアなどともに、ヨーロッパにおける最前線地帯の一つ、となります。
ただし、共産党の存在が認められたように、ドイツ、ギリシア、韓国と比較すると「緩衝地帯」としての要素も入ってきます。
この点、フランスと類似する面もあります。日本は同じく「前進基地」であると同時に「緩衝地帯」とされた点で、近い面もなくはないですが(とくに「知識人の言説」)、イタリアは長くイタリア共産党(PCI)がキリスト教民主党に次いで第二党(自民党と社会党の議席数より僅差)である点が大きく異なります。とくに内戦地域になった中部イタリアでは圧倒的な力を誇りました。