「週刊読書人」12月30日・1月6日合併号に、大内裕和さんの新著『なぜ日本の教育は迷走するのか』の書評を寄せました。
タイトルは「介入する社会学者の軌跡 ー「公教育」と中間層の解体に抗して」です。
「身分」がない筈の「近代」社会で「階層」がどのように「学歴」を通じて再生産されていくのか?
大内さんは、こうしたブルデューの理論的な問いととともに、学歴と所得の相関、中間層の解体などを実証的に明らかにするとともに、「教育基本法改悪」反対などの運動にも積極的に関わってきました。
教育基本法は、戦前の「皇民化」教育への反省を踏まえて、「国家の教育への介入」を禁じる「教育」の「憲法」として制定されたものです。
その意味では憲法23条「学問の自由」を担う組織としての学術会議への政府権力の介入、という現在の事態は、安倍政権時代の「教
基法改悪」の延長線上にあるものです。
大内さんは、こうした統治層側の「国家主義」的な動きと新自由主義的再編の関係を見すえながら、この四半世紀間奮闘してこられました。
この新著を機会に大内さんの他の著書も、多くの人の手に届くことを強く願います。