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「痛い、痛い、痛い」というポイントがあり、そこで医者は「あーこれはあかんか」と取り逃した獲物を諦めるような口調で言った。それが最後の大物だったらしく、ガーゼに何液体を塗って、それを金属棒の先に付けて獲物に塗った。それから掃除機をまた突っ込んだら、スポッという感じで何かが抜けていった気がした。最後の大物が掃除機に食われたらしい。
耳の中から白いゴミを全て取り出してから、「痛くなかったか?」と医者は訊く。いや、痛いから。ずっと痛いって言うてるがな。
医者が訊いてるのは、ここに来るまで痛くはなかったのかということだった。「全然、全然痛みはなかった。ちょっと異物感はあったかな」と言うと、おかしいなあ、おかしいなあと医者は何度も言っていた。
最後に耳の中に何か塗って終わった。また聞こえなくなったら戻っておいでというので、それで治療は終了したらしい。
これは外耳炎やなと医者は言っていた。小さい頃、中耳炎になったことがある。内耳炎にはまだなったことない。死ぬまでに三冠取れるかどうか。時間が足りなくなって来た。