『青春ブタ野郎はハツコイ少女の夢を見ない』(鴨志田一)

完璧。登場人物と彼らの人間関係のポテンシャルを使い切った。SF的なギミックについてはぜんぜん納得していない(ので、それを前面に出した映画もあまり好きではない)が、原作のモノローグ(激・万物に感謝……状態)や葛藤は小説だから出来たものだろう。ふつうにダバダバ泣きながら読みました。いや、本当にいいもの読みました。

恋愛SLGの文脈を(暗に)有して立ち上がったラブコメが、家族小説を経て、そして最後は真っ直ぐに恋愛をやる、ジャンルを微妙にズラして展開する手練手管ですよね。

おれはね、古賀ちゃんのことが相当好き(ある側面では麻衣さんよりも好きなのかもしれない)で、それは彼女が、こうしてズラされるジャンルの中で一本筋の通った「ギャルゲー/ラブコメの後輩キャラ」だからなんですよね。物語の「らしさ」を担っていると言ってもいい。ポップさがある。

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そういうことを書いててわかってきて、『ハツコイ少女』でリョーシ的存在になった咲太を見つけるのは彼女以外にはあり得なくて、このシリーズの「らしさ」である彼女こそが、主人公を見つけ決断を促すのに相応しい。

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