『緊張しない・あがらない方法』(鴻上尚史) #読了 #よしざき読んだよ
俳優の演技のためのメソッドに「スタニスラフスキー・メソッド」というものがあります。本書はそのメソッドを噛み砕き、平易な言葉で、俳優以外の私たち普通の人が日常でも使えるようにするための本です。「日常で演技?」と思われるかもしれませんが、それこそがタイトルの『緊張しない・あがらない方法』に直結しているのです。
私たちは人前に立つときに、つまり緊張しがちな場面では、人からよく見られたいという自意識に囚われているのだと、著者は説きます。緊張から解放されるためには、その自意識から解放されることが必須なのです。では、どうやって? その方法こそがまさに「演技」すること。演技に集中し、五感をフル稼働させることで、自意識を後ろ側へと押しやることができます。
とは言え、演技、普通は意識してすることってないですよね?
本書はそのような普通の人向けの一冊です。演技するため、すなわち五感をフル稼働させるためには「与えられた状況」を事細かに具体的にイメージし、分析し、自らをその状況へと没入させることが重要です。状況を味方に付け、自らを自意識から解放し、緊張から自由になるための方法を本書は詳細に明かします。
例によって〈自分の小説〉のネタ集めのために。舞台モノを書こうと思っているのですが、私自身は舞台に上がると猛烈に緊張したものでした。人が緊張するメカニズムを、舞台に上がっていたあの日々に知っていれば、もっと早く知っていればと後悔しました。〈自分の小説〉では、キャラクターたちを緊張に追い込み、葛藤させ、苦しませ抜こうと思っています。このメカニズムは必ず活きるはず。