深夜の創作メモ 

動物園小説の方はこの連休でも進む気配ない(今日疲れ果てて全く動けなかった)けど、20代中盤〜後半にかけて最も大きな衝撃を受けた出来事――大好きだったひとつ年上の女性、猿と海を愛した詩人の突然の訃報)とのあいだの出来事や心情を、虚構交えて小品にまとめたいと思う。
これまでも連作短歌や評伝の形で繰り返し言及してきたけれど、こいびととパートナーとして生活を築いていく過渡期にあるいま、自分にとっての20代、いつか忘れてしまう時間を純度高く結晶化させたいという想いがある。

タイトルだけは決めた。「あなたは海になりました」。

深夜の創作メモ 

同じテーマを扱っている連作短歌「うみテラス」は、私自身の主観が色濃く滲み出てしまっている。良くも悪くも。書かなかったこと、書けなかったこともある。詩人に対して恋愛感情なんて抱くもんじゃない(少なくとも一方的な入れ上げという形では)、と思うこともあったけど、一生忘れることはできないって思う。新しい人生の門口に立っている今も。

note.com/nostalgia_zoo/n/nad67

深夜の創作メモ 

あのひとの最後の投稿。最後の日から半年後の予約投稿。
10代で穂村弘に見出され(『短歌ください』に彼女の歌が収録されている)、神奈川新聞文芸コンクールでも現代詩の部門で栄冠に輝いた。僕が親交を持ったただひとりの本物の詩人だった。

終わり方まで詩のように決めないでくれよ、と思った。

彼女は「短歌ブーム」を知らない。彼女が最後まで手放さなかったのは短歌ではなく詩だった。しかし僕には笹井宏之の名を教えた。詩の世界を侵さないように、との配慮だったのか。分からない。

彼女は安倍晋三元首相殺害事件を知らない。生前のTwitterの投稿には宗教に入れあげ選挙協力を求める親族に苦悩する内容もあった。

最後のブログ記事には、安否を気遣う声がいくつもあった。理解者になれるのは僕だけだと思っていたのは思い上がりだった。誰もが彼女を理解しようとした。しかし救えなかった。

彼女の詩才に光を照らすことが僕にできることではないか、と夢想することもあったが、剥き出しの彼女自身の創作を消耗品のように世に提示することは避けたかった。虚構の力も借りて、彼女が掴みたかった「強い藁」が何だったのか考えてみたい。

higanbana.doorblog.jp/archives

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深夜の創作メモ 

ニュースで取り上げられる無機質なレポート。「女性」という大文字の主語で括られた自殺者数。
僕自身が日常に翻弄されながら取りまとめている様々な資料と地続きでもある、その内数の「1」に彼女が生き、幕を引いた生が含まれていること。彼女の生のほんの一部分、美しい部分だけが僕の人生のある数日間に照射されていること。
あのひとを通じて、統計上数字に還元されてしまういのちのふくらみを知った。
数字の背後にあるものは何なのか、剥き出しのゼロ地点で知った。

yomiuri.co.jp/national/2022101

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