ザ・バイクライダーズ、予想はしてたけどジェフ・ニコルズ相変わらずすっげーな!こんなふうにこの題材を撮れる監督がどれだけいるよ…と震えたわね。見事な見事なアメリカ映画。イノセンスの喪失や郷愁の映画には当然ならない。バイクがもたらす高揚感の話ですらない。人生は続いたり続かなかったりする、をそのまんま映してしまう凄み。なんか青春の終わりだったら普通前半キラキラあるいはギラギラするじゃないですか。そういうのがないの。ショボいの。そのショボさがゆえの魅力なの。

ラブシーンのように撮られた男から男への懇願と噛み合わなさ、会話からのシャットアウトがピントで示され恐怖のすべてを2階の壁の傷に託す。風を見る。崩壊の始まりの炎を放つ場面はなく次のショットで上から見せていく。終わりが来るときの終わらせ方、車の中のふたりを並べて正面から撮るあの感覚。相変わらず言外の語りもうまいし「手を動かす者たち」の連帯から始まったものと示す台詞(シャノン先生!)で違うものに変わってしまう戦争帰りと低年齢化の前振りをきかせる細やかさにも痺れる

自由とは恐れを感じないこと、なシェルターを作りたかっただけの男としてのトム・ハーディ。モゴモゴ喋りはますます甲高くモゴモゴしてて(やはりマーロン・ブランド)やはり男らしさとの距離の一定しなさが面白い

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奥様は魔女を見てベニーとキャシーが2人で笑っているとこ、あれだけでわかるじゃないですか。荒くれ集団の中でも飛び抜けた暴れ者でも「奥様は魔女」の世界を楽しめてた時代。いうて女性にそこまで暴力的にふるまう人らではないんだよな。まあ白リーバイスを手形だらけにするところでは褒められたもんでもない、それでも所有物ではなく一緒にいれば仲間の感覚がある。次世代はそうじゃなくなってく。そこには戦争が深い影を落としている

叛逆というよりも手を動かして生きる連中のひとつの連帯の形、ヴァンダルズというのははぐれものたちが自由でいられるシェルターだったんだと思うのね。だからこそ人一倍「外の世界のルール」に縛られないベニーの自由さへの愛が一線を超えてしまう理由にもなる。せつないねえ

ウィル・オールダムが出てるの、先に聞いてなかったら見落とすとこだった。ロウリー→ライカート→ニコルズってラインがここで繋がるわけですね。巨大な田舎としてのアメリカを語る映像詩人たち。てかウィル・オールダムのフィルモグラフィすごくね?

殴り合った後にビール飲んで仲直りする世界にいたかっただけのジョニーをいちばんわかってたのは同じ人を同じ理由で愛したキャシーなんだよなー、ってあたりもよかったよね。この世界は同じ場所にずっとはいさせてくれないのだ。

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