『WANDA/ワンダ』見たよー。素晴らしいな。明らかに今作の影響下にあると思しき『リバー・オブ・グラス』はあんまりピンとこなかったのだが、こっちの「何もない女」の何もなさはもはや凄みとしか言えない何かだし、これを主演脚本演出全部やってるのすごすぎないですか…虚しさとか哀しさとかすら、ない。ただそこに「何も持ってない これまでも これからも」な女がひとりいるだけ。「わたしバカなの」に哀れさもない。しかしそんな女が一瞬だけ本当に嬉しげなところがある。そこから「無」でなくなってしまう、というのがなんかもう。いちいちすごい。
全編通して、ワンダはよくそんな状態で…といあ場面でグーグー眠っている女である。眠ってるときだけは世界の圧から自由なのかもしれない。『めし』の「女は眠いんだよ」を思い出す。
私が映画見てる時に「あ、これは間違いないやつだ」とわかる瞬間が2つあって、ひとつは劇伴がつけられてないことに気づいてなかったことに半分くらいまできてようやく気づくときで、もうひとつがロングテイクのワンショットだと気づかずに見てて視点が動いたとき突然「あれ、今ずっとカット割ってない?」って気づくときで、これはどっちもだったな
音の設計もめちゃくちゃ素晴らしい。高速を行き交う車。夜の虫の声。飛行機ではない飛行機の音。