「ミラベルと魔法だらけの家」見た。あらこれもよくできてるわね。全体にはやや薄味なんだけどそのぶん失速しない脚本だったので、あとから好感を持って思いだせそうな。歌いまくる映画でつまんないバラードがほとんどないとこも。リンマニュエルミランダ案件だからということだけでなく、プリンセス映画の在り方としてモアナっぽい良さがある。非常に舞台映えしそうなアイウォントソングの演出とか面白かった。2010年代からのディズニープリンセス映画、ミュージカル映画的な演出ではなくガッとステージっぽくなったの面白いよね。やはり3Dだとそこに向かうということか。あと「奇跡(ミラクル)を救う」という表現が面白い気がした。奇跡とミラクルって同じではないんだなーと
またこういう家族愛で自分を傷つけた人を許してるのとかどうなん?と受け取ってた人もいたと記憶してますが、私の見方はむしろこれ、かなり面白い捻りのある家族話では?なんですよ。この時代にプリンセス映画をやるとはどういうことか。
呪いと恩恵をひとつにして「私が私をみつけるまで」の話にしてるのも、やはりモアナと近いように思う
で、ついでに見たことなかった古典、シンデレラ見てみたんですよ。これがね、ちょっと面白いことに、めちゃくちゃ自我が確立した「夢だけは奪われんぞ」の根性座った「私は私のやり方でいく」シンデレラ像なのね。顔つきからしてアグレッシブ(あとすごくセクシーに撮られている…!)。いわゆるシンデレラストーリーというときに想像されるヒロインの「健気さ」みたいなのがあんまりないの。最後まで先を読んで振る舞う、生き延びるための働き者ヒロイン。ルッキズムというよりハリウッドクラシック作品によくある「野暮な人間はどれだけ馬鹿にしても良い」ヨーロッパ趣味が露骨な(見た目も醜く描かれている義姉たちだがむしろその振る舞いの野暮さが強調される)とこには、まあさすがに厳しいものがありますが、この時代でも既にお伽話の古さを革新しようとする意識は端々に見えて、そう単純に「幸せに暮らしました」も否定できない迫力がある。この女は女王になっても「仕事」をやり抜くであろう。そのドレスのごとくシンプルで大胆な女。
あと○と上下運動の映画でもあり、王様(このキャラクター自体がかなり「子離れできない」存在なのも興味深い)と大公のドタバタ、ネズミたちの屋根裏アクションとかに妙に尺が割かれてるのも面白かった。シャボン玉コーラスとかのアイデアも楽しんだ
ファミリーは呪いであり祝福であり、まあだいたい何かしらの強い繋がり(愛と呼ばれたりするもの)がそうなんだけど、その繋がりがなかったら生き延びられなかったコミュニティもあるわけで。そこに亀裂が入った時に建て直せるのは最も「らしくない」存在かもしれないし、でもそれは建て直せるまではわからないこと、みたいなね。