やっと映画館に復帰。ということで『異人たち』見てきた、しみじみとよかった。ファーストシーンからガラスや鏡に映る姿の無限の広がりに人間の哀しさがうつっている。ありえたかもしれない複数の人生。いろんなことが曖昧なままなのも物語のあり方として好きだった。そうだったらいいのにな、そうだったらいいのにな…アイアンクローに並ぶタイトルの良さ(わたしたちみんな!)も光る。
アンドリュー・ヘイは「親密な他人」(異人というより他人のニュアンスが生まれている気がした)の話が本当にうまいですね。みんな後悔してるし、みんなさみしいし、やさしくしたいしやさしくされたい、を抱えている、その感情は生死を問わず存在し続ける、そうでしょう?
台詞で言及されることもあって、キングの影響も強く感じられる(ホラーとは愛の物語である)ゴーストストーリーとして非常に好ましく見ました。私はアフターサンのよさはよく分からなかったけど(ポール・メスカル以外にも共通項は多いと思う)こっちは素直に好き。「足りることなんてないのよ」に込められるすべて。
しかしアンスコさん本当にうまいな、顔がこどもになってるときと普段の表情とどっちつかずになってるときが全部違う…その潤んだ目や泣き出すのを堪えるような口元にただただ見入ってしまうのだった。