何度か書いてるとおりオゾンは結構好きな監督。『スイミング・プール』で「わかったモーメント」がきてからも相変わらず「素晴らしいオゾン」と「どうでもいいオゾン」があるのだが、仕事量が多くて説明が上手でなんとなくソダーバーグみたいだと思っている。面白くなくたってやることやりゃ映画になる、みたいな。
でも初期は短編『サマードレス』を数年前に見て最高では?と思ったもののどうせわかんないほうだろうと思ってた『ホームドラマ』、キャンピーなんだけど端々が手堅くて面白かったですね。同性愛が重要な要素、という意味だけではなく「慣れろ、おちょくれ、踏み外せ」なクィアなんですよ。同性愛、階級、人種、障害、近親相姦というのは60年代くらいからの「謎の来訪者(無)による上流階級破壊劇」においてもお約束なわけだけど、そこに過剰さの笑いを取り込みあのオチを加えることでさらに捻った「クィアが勝つ」に書き換えているのね。
ケージの内側からの視線で立場を逆転させるカメラワーク。本当の欲望を実現すれば首に枷が加わる。あのネズミは何なのか。ファーストシーンからの予想を覆す終盤(大笑い)で「やっと殺せた」のは何か。最後に墓石の前にどういうカップルが並ぶのか。
今見てよかったと思う。