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『リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング』がとてもおもしろかったので、気になっている方は早めに見ておくといいのではと思います(奇跡的に当地シネコンでかかってるけど、どう考えても人はそんな入らなさそうなので…)。

ロック史においてブラックネスの消去(彼らのリズムやメロディが簒奪され漂白された)は常々問題にされてきたことだと思うし、クィアネスは近年まで「変種」扱いだったわけで、こういうの知らないと始まらないわけですよ。おだまり!なのですよ。

リトル・リチャードのブラックネスとクィアネスがロック史においてどんな意味を持っていたのか、というポップカルチャーに触れるものなら必ず知っておきたい要素に加えて、音楽家としてパフォーマーとして何より人間として尋常じゃないエネルギーがうずまき影響を与えずにいられないその存在を宇宙に見立てそれに説得力があるドキュメンタリーになっている。スター/ダスト。

ドラァグ姿でステージに立ち性的志向をオープンにしあっけらかんとポジティブに性を歌にして「ティーンエイジャーの時代」を大爆発させる。からの突如信仰を強めて女性と結婚し引退か?と思ったら……からのまたも大爆発、からのまた……と混乱したペルソナのようでいて、一貫してもいて。まあとんでもなくすごい人の話だから元気が出るよ

毎年のグラミーの結果に論争が絶えないのもこういう背景を踏まえて考えるべきことなんだよなあ、ということだったり。過去に学び続けることは大事なんよ

南部とクィア(あるいはゴシック/グロテスク)への言及にうなずき、「キング・オブ・ゴスペル・シンガーズ」ツッコミに笑い、フッテージに組み合わせる「再現」の仕方も工夫してあって面白いし、勉強になるだけでなくドキュメンタリーとしてのクオリティが非常に高いと思います。とにかくとんでもなくすごい人の話は見てるだけで元気が出る。

規格外のレジェンドのドキュメンタリーにはすごく魅力的なもの&まあまあのもの(そんなにつまらないことはあんまりない気がする、何しろレジェンドはただたどるだけでも「ほえー」となる人生の人が多い)があるけど、これは前者。少なくとも私はこういう映画にどんな視座を求めているのか(1人をたどると「イメージの歴史」が見えてくるのが好き)がわかって、そういう意味でも面白かったです。

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