パラダイスの夕暮れ見てたんですけど、やはりカウリスマキの冴えないエッセンシャルワーカーたちのひたすら噛み合わない恋を決して笑わない(むやみに面白くなっちゃってるのだが、それでも笑わない)態度を見てると、大切なことは何度も言い続けないといけないし結局はこれだけがすべてなのだという真摯さと可愛げの良さがわかってくるだけでも中年になってよかった気がしてきました。
あとやっぱりズームの仕方がいいですね、顔がまったく動いてないのに気持ちの揺れがわかるズーム技術…フィックス切り返しのおかしみだけに頼らないとこが好きだなーと思った。ときどき困り顔の無力な守護天使が見てるみたいな斜め上からの撮影が入るのも優しさ(とかなしさ)を感じて良い。
生活者の恋は成就の先にあるものとはいえ、しかしそれにしても噛み合わない!どっちも謝ったり感謝したりがない!のですが、それでもぬけぬけと幸せになればいい、それから先はまた先のこと、君は僕のすべてだけど僕は君のすべてではない、としても恋をしてしまえばそれでいいので、今この手につかんだ幸福の無表情を描かずして何が映画よ、という話をいつでも切り捨てられる存在の生活のダサさの極みから決して離れずやってきたわけで、本当にそりゃ今の時代なら引退宣言撤回して戻ってこないといけないと思うよな…