「ジャマル・カショギ殺害事件 真犯人は逮捕されない」をU-NEXTで。監督が『イカロス』の人なので身の危険のありそうな題材を…というのには驚かない、のだがこんなサイバー戦争みたいな話だったのか…というのがもう。なんかもう。独裁国家に反抗したら恐ろしいことが、というレベルの話でもない気がする。
Twitterがかなりの重要な要素を占める話なだけに、今のTwitterのしっちゃかめっちゃかと合わせて資本主義の行方どこなんこれ…みたいな気持ちにならざるをえない。まだサウジと取引しかけてたのがベゾスだったのはマシだったんじゃないかね…とかも思った。いやそこが主眼の話ではないのだが。
興味深く見た一方、この監督に撮られたら陰謀論にもあっさり引っかかってしまうんだろうな私、という懸念も少し。
『イカロス』の大丈夫かこれ?ってなりながら弁護士とか出てくるリアルタイムセッションの感じに比べると、こっちはストーリーが明確すぎるというか、既に検討され尽くしたものの再構成に徹してるぶん、その情報提示の仕方が上手すぎると感じるのかもしれない。イカロスで既に盛りと煽りうまいなと思っちゃう構成だったし。色々の問題含みな状況からつい色々勘繰ってしまうけど、この事件についていえばトルコ側の「何してくれとんじゃ…」を素直に受け取ってもいい気がするんだが、これも誘導されてるのかもしれない、とか。単なる穿ちすぎかもしれませんが、ここまで語りがスムーズになるとそういう弊害もある、気がしたのです
しかしそれにしたってルーマニアの『コレクティブ』見た時も思ったし、問題のスケールはさておき日本の『はりぼて』見たときも思ったけど、これどこからどうしたらいいのかね…のため息しか出てこないドキュメンタリーは面白いから困るんだよな…面白がってられないから面白いというジレンマ、割と不健全な映画的快楽ではある。
なんかなー、国家運営のトロール部隊とかシュールじゃないですか。でも多かれ少なかれ世界のどこでもそれはある。企業が自由経済上で情報インフラを取るってこういうことだし、それ以外のところも似たようなこと、で。