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そういえばヤン・ヨンヒ監督の映画見たことないなと思って『ディア・ピョンヤン』を見てみたらとてもよかった。親の姿を通じて「わからなさ」の向こう側にあるものに手をのばす。しかもユーモアたっぷりに。

基本、ホームビデオである。それゆえに強烈すぎる親密さと懐っこさを感じさせ、圧倒的な輝きを放つ。編集がとてもいい。終盤のマンションの特等席、対話の合間に繰り返される写真の挿入、じっくり撮る部分とさっと切り上げる部分のバランス。

日常は単に事情の複雑さ特異さだけで構成されるわけではなく…という生活の手触りの愛おしさ、暮らしの温度みたいなものがそれゆえに「しかしなー、祖国なー、うーん」という監督のモノローグの距離感と結びつく。熱くなりすぎず、でも当然ながら冷たくなれるはずもない。

絶対に相容れないんだよな…状況考えると価値観の否定もできんが…うーむ、というもどかしい気持ちと、それはそれとして仲良しで情に厚い両親が大好きで大事に思う感覚というのは普通に共存するんだよな。こういう親子関係というのは割と身に覚えがある人多いのでは、自分も含め(なんとなくこれ、東アジアで顕著なんじゃないかと想像)。

エッセイ的だけど、この撮影者と被撮影者の相互作用感はやはり映像でしか存在しえないと思う。いいドキュメンタリーでした。

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