"戦争の砲煙が晴れれば、犠牲となったガザ地区の住民はイスラエル政府に損害賠償を請求できるだろうか。2023年11月23日のソウル高裁民事33部による判決に解答の糸口を見出すことができる"
"判決の肝は、日本政府の不法行為に主権免除を適用できるか否かだ。
主権免除、または国家免除とは、「主権国家を他の主権国家の法廷に立たせることはできない」という内容を骨子とする国際慣習法だ。主権を有するすべての国は平等で独立的であるため、いわゆる「対等な者は他の対等な者に対して支配権を持ちえない」という原則に則ったものだ"
"「これまで戦争犯罪に対しては、国がやったことだから、『婦人及児童の売買禁止に関する国際条約』、『奴隷条約』、『強制労働条約』などの条約の適用を試みて、だめなら仕方ない、というのが国際社会の論理だった。今回の判決は、重大な人権侵害をこれ以上座視しないということを司法が国際社会に宣言したものと考えることができる。パレスチナの地ガザ地区の惨劇についても、ウクライナに殺傷兵器を援助することについても、国の違法性を争えるようになった」"
日本側の反応は十分予想しうるものだった。日本の上川陽子外相は11月23日の談話で、「国際法及び日韓両国間の合意に明らかに反するものであり、極めて遺憾であり、断じて受け入れることは」できないとし、「韓国に対し、国家として自らの責任で直ちに国際法違反の状態を是正するために適切な措置を講ずることを改めて強く求める」と述べた。このかん日本側は、「慰安婦」問題を含む歴史問題は1965年の韓日請求権協定で「完全かつ最終的に解決済み」で、特に「慰安婦」問題は2015年の韓日「慰安婦」合意で「最終的かつ不可逆的に解決」されたと主張してきた。
一審から訴訟そのものを無視して一切対応してこなかった日本政府は、上告しなかった。ソウル高裁の判決は確定した。同高裁は原告側の請求を認め、「被害者1人当たり2億ウォンの損害賠償金と年12%の遅延利子の支払い」を命じた。判決は履行されるだろうか"