子が減りて首繋がれり彼岸花
#俳句
今が見ごろの真紅の彼岸花は私の最も好きな花のひとつだ。しかし、私の子供の頃、悪友の間で「彼岸花の首チョンパ」というのが流行っていた。彼岸花というのは茎がもろい草で、棒っきれで茎を叩くと鉈で切ったように綺麗に折れる。それで、通学路に彼岸花が咲いているのを見ると悪ガキどもが大喜びで「首チョンパ!首チョンパ!必殺処刑人!」とか言いながら彼岸花の首を飛ばしていたものだ。おかげで通学路の彼岸花は大体たたき折られて、無惨な姿を晒していた。私はというと、それを黙って見ながら(なんでこんなに綺麗な花を全部打ち首にしちゃうんだよー、もったいない…)と内心思っていたものだ。で、時は流れて今、少子化のせいか、それとも今の子供は私の子供時代ほど野蛮ではなくなったのか、通学路の彼岸花は首を飛ばされることもなく綺麗に咲いている。良かったなーと喜ぶべきなのか、少子化を憂うべきなのかよくわからない。それにしても、例えば埼玉県の巾着田みたいな彼岸花の名所にもしも当時の悪ガキを送り込んだら大変なトラブルになっていたのではないかと思う。