今年の大河ドラマ『光る君へ』はなかなか出来が良いので楽しんで見ている。ところで、平安時代が舞台の大河は今までいくつかあったものの、平清盛とか平将門とか奥州藤原氏とかの武家勢力の勃興を描いたものばかりで、公家の政争を描いたものはこれが初めてなのではないか。もしかしたらこれは歴史学のトレンドを反映しているのかもしれない。一昔前は網野史学のように民衆史の視点で歴史を捉え直すのが流行りだったので、朝廷より庶民に近いところにいた在地の武士が好んで取り上げられたが、最近はやはり権力者視点の歴史が正しいみたいな考え方が流行りのようだから、それで公家が主人公になったのではないか。もちろんいずれの歴史観も一長一短だろうが、思い出してしまうのが2〜3年前にあった若手歴史学者の舌禍事件だ。確か有名学者がフェミニストの学者を誹謗中傷したり、「網野善彦はサヨク。平泉澄が正しい」とかTwitterでほざいたりしたのではなかったっけ。最近では歴史学者にもネトウヨ気質のオタクみたいな奴がいっぱいいるのかねえ…と、嫌な気持ちになったものだ。もちろん、本当にそういうあれこれが『光る君へ』と関係あるかどうかはわからないのだけどね。