現パロ同棲メテスキとポンペイウスくん
「犬が何年生きるか分かってて言ってます?」
心底呆れた、というには毒気のない顔で言われ、勿論知っているとスキピオは頷いた。ポンペイウスはどこか遠くを見る目つきをした末に、何か危ないものを窺うようにこちらを見る。
「この家で飼うわけ?」
「他にどこがあるの」
「あんたひとりで決めちゃってない?」
「相談してるよ。小型犬は嫌なんだって」
ああそう……と漏れる声は弱々しい。犬は生家でも飼っていたしスキピオにとって馴染み深い生き物だ。いつか飼いたいと思っていたし、いまが良い機会と思ったのだけれど、こうも困惑されると見落としがあるのかと思う。ポンペイウスは別にそういう心配はしていないと言いながら口元を隠すように頬杖をつく。
「思ったより長続きしてるとは思ってたけど仲良く暮らしてるなら何よりというか」
「何の話?」
「いやいや……犬の親権争いで裁判沙汰にならないでくださいよ」
別に所有権を争うつもりはない、二人の犬になるだろう。そう答えるとポンペイウスはやけに穏やかな顔で頷いていた。