アルナルド・モミッリャーノ「ギリシャ・ローマ史学とアンティクアリアニズム」(『モミッリャーノ 歴史学を歴史学する』みすず書房、2021年所収)読む途中で、アンティクアリアニズム(antiquarianism、尚古趣味、好古趣味)について調べたが、

まずは平井浩(ヒロ・ヒライ)のサイトがまとまってる。平井もモミリアーノを平凡社から訳す計画を持っているようだ。以前『テクストの擁護者たち』が訳されたアンソニー・グラフトンはモミリアーノの弟子筋。
bh001.sakura.ne.jp/bhantiquari

Wikipediaの「好古家」項目が意外と充実していたが、これも平井近辺の人が関与していそう。
モミリアーノ以後の状況を踏まえた文献一覧になっている。
ja.wikipedia.org/wiki/好古家

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カルロ・ギンズブルグもモミリアーノの弟子筋なので、定期的に論じてる。「アリストテレスと歴史、もう一度」(1994、『歴史・レトリック・立証)や「わたしはアルナルド・モミリアーノから何を学んできたのか」(2023、上村忠男『歴史をどう書くか カルロ・ギンズブルグの実験』)などで論じられている。

ギンズブルグの場合、ヘイドン・ホワイトを倒すための一環という感じになるのだが。

モミリアーノ論集は、木庭の訳註がやたらうるさいことと(木庭の自論の腹話術をやりまくる)、基本知識の整備を全然やってないので、語句を自分で調べた方がいいというかなり面倒なことになっている。

そこで、モミリアーノ以降局面をある程度抑えてあるWikipedia項目をざっと読んでおくのがおすすめ。古遺物研究(アンティクアリアニズム)は、古物蒐集から古物の整理・体系化をやるディレッタントや愛好家の系統がある。これを文化史的に検討すると、蒐集家一般や博物誌との接点が問われるのだろうが、モミリアーノの着眼点は、この存在が歴史家や歴史学の方法にどういう影響を与えたか、というところに集中している。

Wikipediaの記述が豊富なんだが、中国と日本のインテリモデルで考えると「「好古家」「好古趣味」に近い中国特有の概念として、「文人」「文人趣味」がある」が示唆的。

スコットやジェイムズが自身も好古家で好古家主人公の小説を書いてるとか、ウォルポールが議論しているとあるため、ゴシック想像力とめちゃくちゃ絡んでそう(gothic and antiquarianでぐぐるとそれらしい著作が多数ヒットする)。まあ遺物・遺跡趣味だしなあ…とすんなり納得。

夢野久作とか乱歩、鏡花の幻想趣味とかも類同物に思える。

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