ロイエンタールとミッターマイヤーの、互いを互いの半身とするような親密な信頼と敬愛がいつ何度考えても心臓鷲掴みにしてくる。
生まれの苦労から女を信じられず、何も期待しない漁色を続けるロイ/ただ一人の女性にピュアピュアな恋をして幸せな結婚をしたものの子供は授からなかったミッタマ、という対極の不器用さをもつ二人を永遠に繋いでいる美しさ、苦しさがたまらない。どうやったら二人はただ完全に巡り合った一対の親友として無垢に幸せにいられるんだ?ヴァルハラしかないのか。なぁ。死後しかないか。
望んで一人の女に縛られたいなら好きにせよ、と、あくまで良き友人の立場を保って冷笑を試みるロイの不器用な高潔さがしんどい!
自己破滅を選ぶ悪癖のあるロイを心底心配し続けて、心配のあまり「ロイエンタールの大馬鹿野郎!」なんて子供のような言葉を叫んで拳を叩きつけてしまうミッタマの公明正大な気高さが苦しい!
死が二人を分つとも、という束縛の言葉が相応しい二人だ。分つまで、では済まない。
いつかヴァルハラの門を潜ったとき、先に来ていた男は「遅いじゃないか」と笑いながら言って、そして泣き笑いで痛いほど抱き合うような二人だと思うのだ。
これを書いてたら電車乗り過ごしました。