恭太郎・金魚「鰍沢」
落語でおなじみの演目であり、内容も落語と同じ……かと思いきや、思いがけない後日談が付されていた。なるほど、浪曲版はこうなんだ。好き嫌いがあるかもしれないが、落語版のサゲがいかにも軽くて尻切れトンボなことを思うと、これはこれでアリだと思う。かるた亭でもまた聴く予定。
小そめ・祐子「深川裸祭り」
声も節もちょっと単調というか、ついつい101歳の祐子師匠の熱演ばかりを観てしまった。
奈々福・まみ「慶安太平記 牧野弥右衛門の駒攻め」
あとで友人が、「声もすごいし、華があるし、本当に魅せ方・楽しませ方をよく知っている、素晴らしい」と評したのがすべて。楽しく、わかりやすい。少し馬が可哀そうだけど。
菊春・美舟「崇徳院」
普通、浪曲は節で始まって節で終わるけど、これはセリフで始まってセリフで終わった。ほぼ落語のままだけど、人探しする八五郎の「瀬を速み~」が浪曲らしいところが楽しい。枕を話している流れでいきなり本編に入ったのに、すかさず美舟さんがジャンと三味線を入れたのはさすが。
講談 紅佳「佐賀の夜桜」
鍋島藩の猫騒動の一席。猫が可哀そうで聴いていられなかった。ひどいよ。
勝千代・まみ「太閤記 長短槍試合」
今日はトリ前の「モタレ」の出番なので、軽く楽しい一席を。コメディエンヌっぷりをいかんなく発揮し、随所で笑いが起きていた。
雲月・美舟「徳川家康 人質から成長まで」
これぞ昔ながらの本寸法の浪曲。率直にいって、噺自体は面白いわけではないのだけれど、笑える噺はトリにはふさわしくないというのが昔ながらの考え方だったよう。でも、芸歴56年の芸はさすがの迫力だった。