やはり圧巻だったのはゲストの雲月師匠。本当に格が違うというか、貫禄の至芸というか。終盤の畳みかけるような展開はかっこよかったの一言。
志乃ぶ(秀敏)「葛の葉」
志乃ぶさん、口上のときから相当に緊張の面持ちだったが、いざ出番でもめちゃくちゃ緊張していて、マクラも何もなく、外題を言うのが精一杯。それでも、安倍晴明の母といわれる狐の化身・葛の葉の物語を熱く、切なく、ソウルフルにうたいあげて、あああこれは感動した。胸にずどんと来る感じ。ハンカチに登場いただいた。ネタ下ろしとは思えないすばらしい渾身の一席だったと思う。
千春(秀敏)「陸奥間違い」
対照的に千春さんは度胸のかたまりなのか、まったく落ち着いてマクラもニコニコたっぷり振ってこちらもネタ下ろし。高く美しいのびやかな声。明るくコミカルな話はとてもニンに合っているように思えた。笑いもたっぷりとっていた。同期の2人。これからも楽しみ!
そうだ、あとすごかったのは秀敏師匠の三味線。御年88歳(三味線歴80年!)にして3席連続で飄々と弾く。馬のひづめの音や、松風が吹き渡る音まで弾いてびっくり。なんたって103歳の祐子師匠も現役だからね、浪曲界は凄いよ。