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ファン・ジョンウンの『かろうじて、人間』を読んだ。
帯の、「どれほど簡単なことなのか。希望がないと言うことは。この世界に対する信頼をなくしてしまったと言うことは。」がどのような光景から出てきたのか。

『目の眩んだ者たちの国家』
キム・エラン/著パク・ミンギュ/著ファン・ジョンウン/著キム・ヨンス/著矢島 暁子/訳
shinsensha.com/books/1043/

“セウォルは、もう後戻りできないところまで私を大人にしてしまった。わたしもその世界から足を抜けないと自覚するようになった。大人たちに向かって、あなたたちはどうして世界をこのようにしてしまったのですか、と訊く立場にはもう立てなくなったのだ。”

「かろうじて、人間」ファン・ジョンウン
『目の眩んだ者たちの国家』
shinsensha.com/books/1043/

 “どれほど簡単なことなのか。
希望がないと言うことは。世の中はもともとそんなものなのだから、これ以上は期待しないと言うことは。すっかりこの世界に対する信頼をなくしてしまったと言うことは。”

“どれほど簡単にそう言っていたのか。遺族たちの日常、毎日襲ってくる苦痛の中で何度も反芻する決心、そして断食、行進、その悲痛な闘いに比べて、世の中がもう滅びてしまったと言うことが、何かを信じることがもはやできなくなったと言うことが、どれほど簡単なことか。しかし、みんな一緒に滅びてしまったのだから質問しても無駄だ、と私が考えてしまったその世の中に向かって、遺族たちは、持てる力を振り絞って質問をしていたのだ。その空間、セウォルという場所に集まった人々を、私がもう信じるのをやめてしまった世界のある片隅を、信じてみようとしていた。ならば今度は、私は何をすべきなのか。彼らの質問に応答しなければならないのではないか。この世が滅びたと思ってしまったように、私まで滅びてしまわないためにも、応答しなければならないのではないか。”

「かろうじて、人間」ファン・ジョンウン
『目の眩んだ者たちの国家』
shinsensha.com/books/1043/

 “世の中がもう滅びてしまったと言うことが、何かを信じることがもはやできなくなったと言うことが、どれほど簡単なことか。”

「かろうじて、人間」ファン・ジョンウン
『目の眩んだ者たちの国家』
shinsensha.com/books/1043/

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