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【特集 第4号 生きづらさ再考!――こんな社会で生きてくために】「人生の同僚」と生きる:韓国文学が教えてくれるもの|斎藤真理子
shinrinlab.com/feature004_06/

“例えば1948年に,不正選挙をめぐって起きた「済州4.3事件」では,2万5000人とも3万人ともいわれる市民が虐殺されたが,彼らの死はすべて「共産主義者の煽動によるもの」とされ,報道が規制され,追悼や真相究明はおろか,事件について語ることさえ許されなかった。それは時代が下って1980年に起きた光州事件(韓国では「5・18光州民主化運動」が正式名称)にも共通である。

このように,哀悼さえ禁じられた無念の死の堆積が韓国の歴史には横たわっている。作家たちがこれらの事件を自由に作品化できるようになったのも,1987年の民主化以降だ。

*詳しく触れる余裕はないが,ここには二〇一四年に起きたセウォル号の沈没事件も深くかかわっているはずだ。”

【特集 第4号 生きづらさ再考!――こんな社会で生きてくために】「人生の同僚」と生きる:韓国文学が教えてくれるもの|斎藤真理子
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“チョン・セラン自身も『シソンから,』(拙訳,亜紀書房)という小説の中で,朝鮮戦争のさなかに,敵軍ではなく味方の軍隊によって殺された人々のことを描いていた。その際に家族全員を失った女性が,『シソンから,』の主人公である。長い歳月が経った後,家族の遺骨が埋まっているはずの土地に工業団地の造成が計画されていることを知った主人公は,「何十人もの人が埋まったままでそこを整地してしまったら,この国に未来があるだろうか? 記憶を失ったままで前に進める共同体は見たことがない」と語る。”

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