人権とは「思いやり」ではない 異質な人への尊厳を大切にするためにhttps://digital.asahi.com/articles/ASRDW4HLHRDLUPQJ014.html?ptoken=01HKJAAFECF7CQ8TC8NA21TGT0&s=09
「(前略)優しさや思いやりを養うことがあたかも人権教育だという考えが根強く、人権の内容について教える本来の人権教育がなされていないことが問題の一つだと思います」
――どういうことでしょうか。
「私はこれを『優しさ・思いやりアプローチ』の教育と呼んでいます。思いやりの気持ちが向かうのはもっぱら、自分が仲間だと感じている人、助けたいと思える人でしょう。しかし、人権を持つという点では仲間であってもなくても同じです。だれにでも普遍的な人権があり、あらゆる人間の尊厳が大切にされるべきであるという視点が、このアプローチからは抜け落ちてしまいます」
「メディアの責任も大きい。例えば、弱者の問題を取りあげるとき、お涙ちょうだいではなく、人権という普遍的な基準に照らして何が問題かを伝える。政府が人権を保障する義務を果たしているのか、権力を監視するパブリック・ウォッチドッグとしての役割をもっと自覚すべきです」