“当たり前のことですが、「人が生きる意味」について軽々に議論することはできません。
障害があろうとなかろうと、人は誰しも「自分が生きてきたことの意味」を簡潔に説明することなどできないと思います。「自分が生きる意味」も、「自分が生きてきたことの意味」も、簡略な言葉でまとめられるような浅薄なものではないからです。
(中略)
もしも、私が「自分の生きる意味」について論証しようとして、うまく論証できなかったとしたら、私には「生きる意味」がないということになるのでしょうか。そんな理不尽な論証を求められたとしたら、私はそれを暴力と認識します。
また逆に、もしも合理的で論理的な説明が可能だとしたら、誰かの「生きる意味」を否定してもよいのでしょうか。だとしたら、私はそんな合理性も論理性も身につけたくありません。
そもそも、議論の行く末に責任のない人たちが、ある特定の人たちの「生きる意味」について議論すること自体、その特定の人たちにとっては恐怖だろうと思います。”
第6話 「相模原事件」が壊したもの
#読書
まとまらない言葉を生きる
荒井 裕樹 著https://www.kashiwashobo.co.jp/book/9784760153497
「相模原事件」が壊したもの(荒井裕樹)
https://note.com/poplar_bungei/n/n81993c25b02c