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 “別のところでスチュアート・ホールは東洋の代わりに「残余」(the Rest)を挙げて、「西洋と残余の言説」を問題にしましたが、「東洋」の代わりに残余をもってきた方が事情は解りやすくなるかもしれません。というのも、「西洋」の自己画定の願望は、「西洋でないもの」を隔離することによって西洋の輪郭を決定し、自分達が「残余」ではないことを確認したいとする線引きあるいは境界設定の欲求として展開し、そこで求められているのは西洋が本来的に残余とは異質であるというほとんど脅迫感と化した思い込みを確証することだからです。一五世紀末に始まった近代植民地主義は、西洋と残余に二分された近代の国際世界を生み出しましたが、西洋人にとっての西洋とは、自分達が近代国際世界の中心を占めているという保証なのです。つまり、「オリエンタリズム」とは、近代国際世界特有の歴史的産物に他なりません。”

思想の言葉:酒井直樹【『思想』2023年12月号 特集|エドワード・サイード──没後20年】tanemaki.iwanami.co.jp/posts/7

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