文化人類学者のジーン・レイヴと社会学習の理論家と実践家であるエティエンヌ・ウェンガーが著した一冊。
このテキストの着目すべき点は、AAの集団としての再生産過程が言語化されている点です。
ジェイムズはチャールズ・テイラーの批判が正しく示しているように、集団よりも個人に注目し、集団の中で生まれる文化や歴史を『宗教的経験の諸相』において考察しませんでした。
この点は個と超越との関係を鮮明に描き出す点で画期的でしたが、AAはオックスフォード・グループから受け継いだ集団性も併せ持っています。
では、ジェイムズでは描けなかったAAの文化的、組織的な再生産プロセスはどのようなものか。
ひいては、AAにおける「学習」とAAメンバーとしての「アイデンティティの獲得と成長」はどのようなものかを示してくれます。
ビッグブック、Not-Got、『宗教的経験の諸相』、そしてこの『状況に埋め込まれた学習』は、AAを作り出していくための必読書。つまり、現代においてステップ12を実践するためになくてはならない有益な道具となっています。