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20230507「ファイブ・デビルズ」 

どういうことなのかまるで分らない。たぶんヴィッキー自身も説明なんかできないんだろう。
ただ一つはっきりしているのは、この子は過去に何が起きたのかを「知っている」ということ。誰かから話を聞いたんじゃなく。
そしてそれは恐ろしい直観につながった。
ジュリアが「見える」と繰り返していた少女というはつまり、この子なのかもしれない、と。

そんなことありえない。もちろん。でもきっと「そう」なのだ、と思った瞬間、私は心の奥深いところで、不思議な納得感を感じてしまってた。
納得感と、震えるような恐ろしさ。
つまり「あれ」を引き起こしたのは誰なのか?
それを考えるのは、ものすごく恐ろしいことだ。

ヴィッキーは、最初にジュリアと会ったとき、私たちの間にあった過去も、そのときの感情も、いろいろなことがねじれた結果、彼女が生まれたのだということも、本能的に感じ取ったのかもしれない。
自分自身の存在自体を否定されるような恐ろしさを、感じ取ったのかもしれない。
そして逆のことを、きっとジュリアも感じとったのだ。

「あの人がいなくても生きていける?」
そう問われたとき、私は答えをはぐらかしたけれども、本当はわかっていた。
10年忘れたふりをしようと務めた。
でもそんなことはムリなんだって。

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